私が50歳を迎える前(5~6年前)くらいから、「FIRE」のことがしきりに取り沙汰されるようになりました。初めて「FIRE」を目にしたときは、スティービー・ワンダーが歌う缶コーヒーのCMソングが脳内に響き渡ったことを思い出します。
FIREとは
「FIRE」とは、Financial Independence Retire Eralyの頭文字の造語の様です。要は資産運用による配当などの収入によりサラリーマン生活とはおさらばして、経済的にも精精神的にも自由になって人生をハッピーに楽しもうよ!というムーブメントです。余談となりますが、「independence」というと若い頃に妻と観に行った映画に「インディペンデンス・デイ」というのがありました。エイリアンが地球に攻めてきて、空軍のパイロット上がりの大統領が戦闘機に乗ってUFOを撃退するというストーリーでした。宇宙人を撃退した最後に「今日が、地球の独立記念日だ」と云ったか云わないかというような内容でしたが、最後の最後まで「インデペンデンス・デイ」(独立記念日)の意味も知らずにいた自分に、自己嫌悪を感じたのを思い出しました。
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さて、過去のことはひとまず横に置いておくとして「FIRE」ブームは今回だけではなく、過去も何度かあったようです。株式市況が活況となると「株で食っていくぞ」という動きは活発化しますので、GAFAM(グーグル・Amazon・フェイスブック・アップル・マイクロソフト)を主体とした米国株ブームが今回の「FIRE」ムーブメントの火付け役であったことは間違いないでしょう。
「三菱サラリーマン」こと穂高唯希さんのブログが有名ですが、穂高さんは会社に入った瞬間から会社を「豚舎」と名付け、サラリーマン生活から抜け出すために給料のほとんどを投資に振り向け30歳手前で「FIRE」を達成したことが、ずいぶん話題となったものです。
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FIREの前提
「FIRE」の前提に4%ルールというのものがあります。アメリカのトリニティー大学で、一定の株式と債券を組み入れたポートフォーリオから(金融商品の組み合わせ)生活費として4%づつ取り崩したときに、最初に投入した元金がほぼ残っていたという研究結果から導き出されています。(めちゃくちゃ端折ってますが)ざっくりの目安です。
100%÷4%=25年分程度の元金を確保すればめでたく、「FIRE」生活が一丁あがりということことでしょう。
ほんまかいな?という向きもあるとは思いますが、過去のリーマンショックなどの大不況を含んでのデーターでも、米国の代表的な株式指標のS&P500を買って15年程度保有していれば、どのタイミングでもほぼ元本割れしないというデータがあるので、未来も米国が世界の覇権国であるなら「FIRE」の成功確率は高いと思われます。
まずは目標の元金を決定するときに、自分の生活レベルを設定する必要があるのですが、ところであんたは毎月いくらで生活するの?ということになります。日本人の平均年収が480万程度で、中央値が390万程度。390万を採用して25年分は9,750万、390万の年収から1億を貯めてのリタイヤとなると、まあまあの無理ゲーのような気がします。
「FIRE」についての個人的見解
過去のデータを見てみると、「なんで俺は今まで投資をしてこなかったんだよ、馬鹿野郎」と過去の自分に思う部分はあるものの、私や私の親世代までの日本経済はなんとかなってきたので結果、そこまでデーター上の遺失利益に対しての感情はありません。何も考えずにここまで何とかなってきていることは、逆にラッキーと思っています。
そう考えると今の若者は、将来のために現在を犠牲にする決断を強いられているようで可哀そうな気がしないでもありません。
「FIRE」についてのまとめ
基本的に米国経済など、経済が右肩上がりで成長することが前提です。人はより幸せになりたいから、経済はどん底に落ちても不死鳥の如く蘇るという論調です。S&Pや日経平均への長期投資となると、そこを信じて自分の人生を賭けることが出来るか否かということに尽きます。(YOUTUBEなどで、4%ルールをあたかも当然のことのよう論じているのがありますが、あくまでも過去のことでこれからは約束されてはいませんので、注意が必要です)
また、人の命などは朝露ほどにはかないものですが自分が平均寿命程度は生きて、相応に現在受けている公共サービス、娯楽を享受できるという前提です。革命、貨幣経済の破綻などが起きれば目論見は水泡に帰します。挙句に「FIRE」に向けて食うものも食わず、遊びもせず、入金まっしぐらの中途で不幸にも命を落とすようなことがあれば後悔するかもしれません。
そう考えると、極端なことはせず若いうちは「無くなっても気にならない程度」をキーワードに、まずは投資を経験する程度が最適解という気がします。15年もやれば損をしないという前提なら、15年を1つの期間として次の投信方針を決めるくらいの緩い感じで良いと思います。
390万の生活を犠牲にして無理して投資をするよりは、30代中盤くらいまでは、キャリアアップや今しかできない経験を第一に考えるほうが人生戦略としては合っているような気がします。サラリーマンなら給料や副業での入金力を上げることと、無駄使いをしない習慣は身に着けておくべきだと思います。前述の「三菱サラリーマン」さんがリタイヤできたのは、アベノミクスによる株式相場好転の追い風+三菱商事という日本トップクラスのサラリーマンで桁外れた入金力があったことも要因と思われます。(三菱商事の平均年収はなんと2,090万)
では、私のような50歳を過ぎた人間は如何にすべきでしょうか?
平均寿命ならまだまだ30年あるので、使わない前提ならまだ投資に回すこともできるでしょう。しかし、子育てが終わってからの資金は老後に使う資金です。運用の失敗は許されない資金であり、現実的に投資で運用するというのは無理でしょう。更なる質素・倹約を身に着け、健康で少しでも長く働き現金収入を得ていく、残酷な話ですがこれが最適解だと思われます。
そうなると、「脱社畜」はいつまでも達成できないという身も蓋もない話が結論となります。結局、なかなか「FIRE」へのハードルは高そうだという話でした。

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